最高裁判所第二小法廷 昭和39年(行ツ)27号 判決
名古屋市中区下園町一丁目五番地
上告人
大月土地建物株式会社
右代表者代表取締役
大月一一
名古屋市中区南外堀町六丁目一番地
被上告人
名古屋国税局長 奥村輝之
同所
被上告人
名古屋中税務署長 伊藤育
右当事者間の法人税等の更正決定取消等請求事件について、名古屋高等裁判所が昭和三八年一二月一四日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告申立があつた。よつて、当裁判所は、次のとおり判決する。
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨選択、事実の認定を非難するに過ぎないものであつて、上告適法の理由とは認められない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外)
○昭和三九年(行ツ)第二七号
上告人 大月土地建物株式会社
被上告人 名古屋国税局長
外一名
上告人代表者大月一一の上告理由
本件を明確に御認識して頂くため、次の項に依つてその大綱を説明申上げます。
名古屋市中区下園町一ノ五名古屋法務局第三五八三五号
一、土地 宅地六〇坪二合五勺=借地契約公正証書=大月一一個人
訴外勝浜鐘一氏所有 昭二七・一一・四付け
二、〈省略〉
三、大月土地建物(株)=昭三三・一、現代表取締役大月一一を含む発起人に依つて殖産業等を目的に資本金八〇〇万円を以つて設立した。
四、保証金三〇〇万円と建物二一二万円合計五一二万円に就いては大月土地建物(株)を発起設立と共に合理的計画に依つて誓約されていたもので金銭の受渡――時機等は相方最も適当と思われる日に行つたままであります。
即ち建物費二一二万円は家賃収入の始めである昭和三三年一月であり
借地権保証金三〇〇万円は建築以来大月一一家族が住居として使用していたものを昭三四・一二末を以て転出したのを機会として昭三五・一行つたものであります尚この保証金三〇〇万円に就いては既に昭三三・一二・四付相方合意に依り契約書が作成されていたものでありますが、その契約項目内容に就いて不備のあつた点等は後の頁に依つて御説明申上げます。
参考迄に申述るなれば即座に各月八万円以上の家賃収入のある建物が名古屋市の固定資産税の評価格の二一二万円のみで取引きされていると仮定したなればそれこそ一大事として名古屋中税務署御当局としても正しい処に更正願うのが理ではないでしようか。
建設費約六〇〇万円の物件である。
「附図」――(印刷省略)
右の件に対し被上告側並に名古屋地方、高等両裁判所は共に先に上告側の提出せる甲第六号証の第一、二、四条の条文を厳しく固執して居られる様であるが、云返へるなれば、先の甲六号証は元より他人に発表若は閲覧して頂く心算で作成したものでは無く、只単に会社を設立して個人との境界を段々と明らかにせんと志した挙句、何か記録す可きと訴外の某かの家屋賃借契約証書を借りて写しとつた程度のものであり、肩書きの綴りの違いや条文が不足したり多過ぎたりして、殊に左記の諸点など、全くとりあげるにも足りぬものと思います違つていると思われる点を左に揃つてみました。
「例へば」
家屋貸借契約書=改め仮称=「家屋の存在せる借地の使用保証契約書」が適当。
第一条 物件……の右に=改め仮称一行を加へて=「左の物件の存在する宅地六〇坪二合五勺の使用保証権」が適当と思う。
第四条 ×抹消するが適当と思う。
而して右文面の如き次第は上告人の真事実である根本目的とちがつている点もあることを、元より充分御理解ある可く、税務署再調査係官亦名古屋国税局協議団係官或は各理由書にも諄々と本筋を説明供述してあり都度都度係官方も深く認識して帰へられた筈であります。であり乍ら、いざ決定となると、簡単に棄却して来ております、上告人申立ての事実もとり上げないで、頭初調査にも来ないで一方的に更正決定をして来た税務署の判断が正しいと強引に押して来ております。
申告納税者の内部書類等に就いても事実と間違つているものが記録されていたなれば何故その訂正若くは指導等せないのでしようか。
◎法律は凡ゆる矛盾や間違いを真実の姿に裁いて下さるものと信じております続いて吾が代表者大月一一の神髄を訴えん。
上告人納税者は真面目に青色申告をしているのに被上告人側は何の指導も納得も無く、否応も無しに更正決定をし、それに応じなければ人の最も大切にする不動産の差押、公売処分をして徴税せんとするのが元来の手段なのでしようか、信じられません上告人は納税を拒む意志は毛頭持つておりません亦裁判等愛好する者でもありませんたまたま同族法人組織であることのみを盾にして保証金を会社の役員である代表者と取りかわす等他に例も無い等と強行に却下して来た被上告人側に対し反撥するものである。公認会計士を顧問に協議の結果、自信を以つて申告納税して居り、他には例が無い等と証言した国税局久恒協議官等其の他に於いても異(いつわ)りの証言を平然と述べていた全く証人価値の無い人であつたことも上告する。
上告人は正当防衛をしている間に申告の主旨を述べるうちに遂うろうろとこのような処迄お手数を煩わせる事になつてしまつたと云へましよう。
尚且先に申述べました如く最も大切な不動産の差押、公売予告等を受け、脅迫され悩まされているのが現況なのです上告人としては更正された理由が申告の趣旨と合致さえすれば進んで納税も致し、頭を下げて如何様な御処分なりともお受けする可く神髄は持つております。
上告人代表者大月一一は特に「正しきを尊ぶ者であります」僅かな金額なのに控訴等ルールも弁えてもいないに裁判等したくは有りません。
只本件に就いては本人が最も正しく判つているだけに上告迄申述べる訳であります勿論今更弁護士等へ依頼する事もありません。
只々理解し納得の出来る迄の御裁決を仰ぎ度いものであります。
(添付書類省略)